この前の話。
D組のほうが手前の部屋を使ってたような記憶もあるよ。
面談が終わって君がいた部屋の前を通ったような気がしてきた。
だから、君は僕の前を通っていない。
大切な記憶だから正しく覚えていたい。
でも、通ってほしかった気持ちが重なりすぎて、もうどっちが本当なのかわからなくなる。
「そこ違うよ」
手のひらに乗せた僕をつついてる。
そうだね。
僕の見ている世界は君の手のひらの上。
君の手を握っている僕は、いつも君の手のひらにいる。
だから全部お見通しだね。
どこが違うの?
あの日僕の知らないことがあるのなら、本当はどうだったのか教えてほしい。
間違えて覚えてるの、恥ずかしいし良くないじゃん。
同じ思い出になってる方がいいよ。
君の手のひらから落ちそうになったら、また真ん中に連れ戻してほしいと思ってる。
そこは合ってる?